「ねこどもについて」
自然に対する憧れから始まった挑戦は、早々に負けを認めることになりました。 人体の中にその美しさを探してみたり、単純に大きなものにしてみたり、自然そのものを手にしてみたり。 自分も自然の一部でありながら、人の中だけで見ても力は弱く、比べ物になど端からなっていなかったのです。 そもそも勝ち負けを意識したり、対抗してみるようなものではなかったのです。 そんな自分に残されていたのは身近にある小さな命たちでした。私よりも自然に近く、その1つとして溶け込む、純粋な姿たち。 美しさよりも、心地よさ、可愛らしさとして新しく見えてきた形たち。 それが小さな子どもと猫の姿であり、それらは外見から、内面から、全てが新しい発見の塊でした。 その姿に、生き方に、目を向け手を動かし、いくつもの新たな形を生み出してきました。 フォルムは心地よく、手になじむように、可愛らしさと、それだけではない内面の葛藤や成長にまで目を向けて。 そして気付くのです。 彼らの成長の先にあるのが、今の私のような未熟な姿であること、追ってきたのは、私も通ってきた道であることを。 忘れてしまった頃の姿に憧れて、自分で捨ててしまったものを大事に拾い集めていたことを。未成熟な姿は、私の見ている世界を伝えるのにとても効果的なものでした。 何故ならそれが、私自身の思う理想の姿だったからです。単純に、人間の子どもの成長と変化に目を向けているだけの時もありました。 だけど彼らは本当の子どもではありません。 猫のように、時間の流れに逆らうことなく、ありのままに生きることも知っている子どもです。 私が生み出すのは、命が成長してゆく姿だけではなく、私自身の世界への思いや、小さな抵抗です。猫と子どものまるいまるいフォルム中に心地よい形を求めて。 そして子どもは成長する。子どもはいつか大人に成長します。 私に愛らしさ、そして純粋で無知なことの美しさを教え残し、最後はそっと消えてしまいます。 その姿を私は、彼らと共にじっと見続けていくのだと思います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Sculpture | Painting | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
>>ARTIST |